If. Quantum supremacy

 ”IBMは2016年5月、量子ビット5個からなる量子コンピュータを操作できるクラウドサービス「IBM Quantum Experience」を無償提供して話題を呼んだ。公開から約1年で100カ国超の4万5000人が使い、約30万回の実験をこなした。2017年5月には量子ビット数を16個に増やした量子コンピュータのベータ公開を始めた。”

 

 ”IBMが開発する量子コンピュータは「量子ゲート方式」と呼ばれるタイプだ。「0」と「1」のビットを基に論理回路(論理ゲート)で演算するのは従来のコンピュータと同じ。通常のコンピュータが扱うビットは「0」か「1」のどちらか一方を表すのに対し、量子コンピュータは「0」と「1」を重ね合わせた状態が取れる量子ビットで演算する。”

 ”IBMが発表した17量子ビットであれば最大で2の17乗、13万1072通りの演算を1度に実行できる。”

 

  ”今、IBMに続き量子ゲート方式の研究に乗り出す企業が相次いでいる。

 ビッグプレイヤーの一社が米グーグルだ。人工知能(AI)の演算を高速化できるとみて開発を進める。量子ゲート方式の権威として知られる米カリフォルニア大学サンタバーバラ校のジョン・マルティニス教授を研究グループに招き、スパコンの演算能力をはるかに超える量子コンピュータの実現を目指す。”

 

 ”マルティニス教授は2016年6月、分子の性質をシミュレーションする「量子シミュレーション」と呼ぶアルゴリズムであれば、50量子ビット量子コンピュータスパコンの性能をしのぐ「量子の超越性」を実証できると学会で発表している。さらに同氏は2017年中にも49量子ビット機を実現するとしている。”

 ”スイス連邦工科大学の研究グループはスパコンを使ってシミュレーションをすると、その計算能力は45~49量子ビット量子コンピュータと同等だと2017年4月に発表した。50量子ビット量子コンピュータが完成すれば、その計算能力はスパコンを上回る。”

 ”グーグルの研究チームに参加するマルティニス教授は100量子ビット超の実現を目指す。IBM Researchの研究グループも2016年8月に100量子ビット機が近い将来に実現するとの論文を発表している。「近い将来」を5年以内と仮定すれば、2021年までには100量子ビットを実現できる。計算能力は単純計算でスパコンの9000兆倍。人間の身長と比較すれば太陽系の半径にも相当し、超越性と言うにふさわしい飛躍だ。”

 

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/17/062900267/062900001/

 

 量子ビット数が12か月で倍になると仮定する(LRA)。

 年 量子ビット

 2017 16

 2018 32

 2019 64

 2020 128

 2021 256

 2022 512

 2023 1024

 

 仮定に基づくと、20年代初頭には量子コンピュータ量子ビット数は100に達する。理論演算性能は10^30FLOPS(Nonillion Scale)。

 人間の知能(1H)を1EFLOPS(100GNeuron×10KSynapse×1000Hz)と仮定した場合、人類の知能の総和を超える。つまりノウニィリオンスケールはシンギュラリティクラス・アーキテクチャとなり得る。人類のMU(マインド・アップロード)さえ理論上は可能である。

 20年代半ばには量子コンピュータ量子ビット数は1000に達する。演算性能は10^300FLOPS(Centillion Scale)。

 セス・ロイドの概算では宇宙には約10^80の粒子があり、その理論上の最大容量は約10^90FLOPSとなる。宇宙の年齢は約10^17秒であるから、これまで宇宙では最大で凡そ10^107の計算が行われたと見積もられる。

 つまりセンティリオンスケールは宇宙シミュレータとなり得る。